大腸肛門科領域 監修

大腸肛門病センター高野病院
副院長
高野 正太先生 Dr.Shouta Takano

PROFILE

  • 1999年東京医科大学医学部卒業
  • 1999年慶応義塾大学病院 外科 および 一般消化器外科
  • 2005年特定医療法人社団高野会 高野病院
  • 2010年Cleveland Clinic Florida, Department of Colorectal SurgeryにてFellowship
  • 2013年特定医療法人社団高野会 高野病院 医長
  • 2014年社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院
    肛門科部長 および 大腸肛門機能診療センター長
  • 2017年同副院長(兼務)

INTERVIEW インタビュー

大腸肛門科医のお仕事

高野 正太先生

ずばり大腸と肛門の病気を診断、治療するお仕事です。「大腸肛門科医」というと一般的に外科医ですが、今はだいぶ薬がよくなってきたので内科的な治療も行っています。

大腸肛門科で扱う重症の疾患は大腸がんやクローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患です。比較的軽症の疾患としては、痔ですね。いぼ痔、切れ痔、痔ろうなどの肛門疾患では多くの件数の手術が行われます。また、最近は便秘と便失禁の治療に進歩があり、本領域のホットトピックスとなっていますので、力を入れて取り組んでいる大腸肛門科医も多いです。

「ホワイトプレイヤー」プロジェクトについて

高野 正太先生

以前から肛門科の漫画を作れたらいいなと考えていたので、やってみたいと即諾しました。僕は今でもときどき漫画を読みますし、手塚治虫の『ブラックジャック』に憧れたことが医師になった理由の一つなんです。肛門科を漫画にするならコメディータッチの表現が合うかな、なんて具体的なイメージも持っていました。ご想像つくと思いますが、肛門科はおもしろいエピソードの宝庫なので。プロジェクトの制作スタッフさんたちは「キャラクターを通じて診療の様子を紹介することで肛門科受診のハードルを下げ、もっと女性を健康に……」などと言っていますが、僕にはそんな大義名分は必要ありません(笑)。この領域の医師としておもしろいと思ってきたことを、みなさんにも笑って楽しんで欲しい、それだけです。

制作過程は時間がかかる分、公開が楽しみですね。初めての打ち合わせでは大学病院が舞台だという説明を受けましたが、それなら「肛門科」は現実にあまり存在しないから「大腸肛門科」のほうがリアルじゃないかな、とお話しすることからはじめました。漫画の監修では「術衣を着るのは手洗いの前ですか後ですか?」、「手術室のドアはどうやって開けますか?」など、にゑさん(作画担当)からの質問がネームに書き込んであるので、こういった疑問に一つ一つ答えることも外科系の監修医としての役割になっています。

高野 正太先生

高野 正太先生

「ホワイトプレイヤーたちにもっといろんなことをさせてみたい。海外学会にも行かせたいし、大腸肛門科のスピンオフも作って欲しいです」
(高野先生)

弥勒院涼太と高野先生の似ている点、異なる点

似ている点は、手術が好きなところです。僕は医師になるのであれば医師にしかできないこと、つまり手術でひとを治したいと思って外科医を選びました。弥勒院もそうかもしれません。

違うところは、熟女が好きという設定ですね。……そっか、これは僕がそうしたらどうかと言ったのか(笑)。弥勒院というキャラクターをホワイトプレイヤーの“コメディ担当”にしたいとスタッフさんと話し合うなかで採用されたのだと思いますが、僕自身は「若い女性患者には若干冷たい(弥勒院涼太プロフィールより)」ということはなく、外来では老若男女すべての患者さんに等しく優しいです。

高野 正太先生
高野先生はキャラ設定にも参加。名字は高野先生の秘書殿の「やっぱり漢字3文字じゃないですか」が決め手に。

大腸肛門科医から大人の女性に啓発したい疾患

まず大腸がんですね。40歳を超えたら、できれば毎年「便潜血検査」を受けていただきたいです。そして、45歳になるまでに一度は「大腸内視鏡検査」を受けたほうがいいと思います。僕も先日、大腸内視鏡検査を受けてきましたが、それほど辛くはありません。ちなみに自施設ではなく、わざわざ面識のない先生のところまで行って……狭い世界なので、すぐバレましたけど(笑)。

それから痔です。とくに妊娠を考えている女性には、計画的に痔の治療を行っておくことをおすすめします。痔は妊娠中に悪くなり、出産時にも悪化します。妊娠中は飲めない薬も多く、出産後は育児に手がかかって治療の時間をとるのが難しくなります。

最後にやっぱり便秘ですね。便秘くらいで病院に行くなんてと思っておられる方もいますが、ほかの重大な疾患がないかどうか確かめたり、自己流ではなく症状に合った改善方法を知ることは大切です。

多くの女性にとって身近な“便秘”

便秘には大きく二つの原因があります。腸の動きが悪くてなかなか便がお尻まで下りてこないSlow Transit Constipation(STC)と、筋肉がうまく動かせなくてお尻から便が出せないObstructed Defection Syndrome(ODS)です。この二つの治療法は異なります。STCなら下剤の処方と並行して食事や運動の指導を行い、徐々に下剤を減らしていく治療となります。ところがODSの場合は、下剤はおすすめできません。僕は、ODSの方には“便を出すリハビリ”をします。たとえばお尻から風船を入れてお腹の筋肉を鍛えたり、肛門の筋肉を緩めたりする訓練です。リハビリを行うことで、7割くらいのODSの患者さんがうまく便を出せるようになります1)

1)鈴木重行、井上倫恵(編)「リハスタッフのための排泄リハビリテーション実践アプローチ」メジカルビュー社,2018

はじめて大腸肛門科にかかる方へのメッセージ

便秘一つとっても専門医ならではの治療があります。長年の悩みを解決できるかもしれませんので、ぜひ一度相談してみてください。お尻の診察を受けるのは勇気がいるかもしれませんが、病院側も試行錯誤を重ね、今ではお尻以外をうまく隠してお尻しか見ないようにして診察をしている施設が多いです。ちなみに高野病院には女性専用外来があり、医師以外のスタッフは全員女性、入り口も別という体制をとっています。こうした女性専門外来は全国にありますので、利用してみるのもよいかと思います。

高野 正太先生